先日(9月27日)日本経済新聞にこんな報道がありました。
ガソリン販売大手の出光興産が、電気自動車(EV)時代を見据え、電気自動車の蓄電池に使われる全固体電池の開発に勝負をかける、という記事です。
その背景はこうです。出光は昭和シェルとの経営統合で現金創出力(フリーキャッシュフロー)が前期比2.6倍の1198億円になります。このキャッシュフローを使い、全固体電池の開発に注力する、これが挑戦の背景です。このように経営統合の効果は、既存事業の競争力アップにとどまらず、統合から生まれるキャッシュフローを使って大胆に新規事業に投資することにあります。
私が推奨するグループ経営・ホールディング化の目的もまさにここにあります。お金を「分ける・集める・増やす」という資金の循環を生むことこそグループ経営・ホールディング化の目的です。分社化でお金の入り口を分け、お金をホールデイング(持株会社)に集中し、グループ全体の成長のために新規事業やM&Aに投資して増やすのです。
資金の循環を順に説明します。
まず事業ごとに分社化すると子会社は親会社頼みから独立し、子会社自ら成長のために必死に顧客を集め事業を拡大します。子会社意識から自主独立の意識が芽生え、グループ各社はお金を増やすことに邁進します。
次に増えたお金をホールディング会社に集めます。こうすれば各社が単独で行う投資よりも大きな投資ができるのです。ホールディング会社はグループ全体の観点から長期的な成長のための新規事業や成長投資M&Aに投資します。
さらに新たな新規事業を再び分社化すれば、お金の入り口がさらに増え、お金が増え続けるという自己増殖の仕組みができるのです。
M&Aにおいてもホールディング化という手段か活用され、持ち株会社の下に旧2社が兄弟会社として併存するという形が一般的です。
出光興産と昭和シェルの経営統合は、ホールディング会社の下で一度併存の状態にして、気心知れてから合併というステップを踏まず、一気に合併することを選びました。これは石油業界をとりまく事業環境への危機感からでしょう。この合併により、新会社は旧2社の資金の集約と大胆な投資という統合のメリットを最大限に享受できるのです。
皆さんの会社もお金の循環の仕組みを取り入れてさらに成長しませんか。